個人の尊さ
6月半ば頃、新しい店の為に養鶏場跡地を契約させて頂きました。
私は前々から自分だけのお店を持ちたく、しかしそうするには時間も軍資金もいるし…
何かしら理由をつけて先延ばしにしていました。どういう状況であろうと本気で考えていれば、見切り発車になるか、それとも委託でも良いのでどこかしらに商品を卸す等も出来たのですが
持ちたい反面まだそこまでの責任を背負うには早いのではないか
この心情が大きかったような気がします。
何より隙間時間でしか動けない事もあったし、どこかで諦めていました。
それが急遽、出店について時が動いた。
その話を昨日読んだ本で思い出しましたので本日はその話を。
「えw何故これで思い出すの!」
ってなるでしょうねw
その話の前にまずはこちらの本の話を。
何気なく手に取った本でしたが、思った以上の良書であり、できる限り多くの方に読まれればいいなぁと思える本です🙌
吉田さんはただの社長さんにしておくのには勿体無い程の文才に溢れ、そして仕事を通じて感じた愛をお持ちで、そこいらの感動小説よりも深く重みのある、そんな短編集。
現場から亡くなった方の代わりに、生きる人間へのメッセージを言葉にし、綴られたような、とても愛のある1冊でした。
"死に様が生き様を語っている"
とあとがきで仰るように、遺品整理となるとその方が生前ギリギリまで生活を共にした色々が残るわけで…。
残された物を通してその方に触れ、1人の人生の重みを考える、愛があってこそだなと感じ大変感銘を受けました。
さて。本題です。
これと、その6月の私が出店のために動いた事となんの関係があるの?という本題。
五月暮れ、知り合いのおじさんが亡くなりました。うちの主人が子供の頃からよくして頂いた方で、そのおじさんは古物が大変好きな方。
22年に及ぶコレクターでした。
そのおじさんが急に亡くなり、おじさんのコレクションで溢れかえる家に残されたおばさんは相当困られたらしく、葬儀の席で
「ちょっとあんたら古いもんが好きならいっぺん見においで」
と、ここで言わんでも!と思う様な場所でその話をなさいました。後でよくよく考えてみたら、1番に悩みの種だったんではないかな、と思います。
私も古いものが大好きなのでわかりますが、興味の無い人にとってみたらそれはただのガラクタと呼ばれるものだ、という事。
本人不在となった今、あれらをどうするか、その思いでいっぱいだったのでしょう。参列なさる方々にそうしてお声をかけていらっしゃいました。
そのまま数日すぎ、ふっと思い出して
「もしかして、それを見に来て欲しいって言うのは、会いに来て欲しいって事なのかも」
なんせ年寄りの多い地域です。
隣同士が隣接した立地条件ではなく、敷地は広大な大自然環境、年老いて一人ぼっちともなると心細い……
今までも何軒かは定期的に覗きに行くようにしてましたが、1軒増えちゃったね😌と足を運びました。
現場についてわかった、理由は両方で
・すごいコレクションの数!そしてお宝がわんさか
・独りで寂しいから形見分けで色々な方が立ち寄ってくれればよい
そういった事でした。
おばさんと話していたら、古物商を営んでいるばあさんが来て、いらないのなら貰ってく、次はトラックで来る、と言っていた、と。
私も古物は好きなので、おじさんがそれを集めた理由や気持ちを考えながら、お茶を頂いてました。
「おばちゃん、その話、断ってもらえん?
出来たら信用して預けてくれると嬉しいんだけど」
話しながらずっと考えていたのは、おじさんの気持ちと、敷地の問題。
なんせコレクションの数は山半分ですw
すごい量!そこに古くて立派な家財なども沢山あり、ネット販売も視野に入れましたが、そうなると送料だけでも代金がバカ高くなる…。
なんとなくピンと来たのです。
良いタイミングかもしれない
おじさんはきっと家族の次にこれらが好きで、これらをこれだけ集める為に小さい喧嘩だってしたでしょうw
だいたいそうです。
いらんよな物ばっかり買ってきて!
人はこういう事で喧嘩するw
でもそういった小さな諍いも毎日見てきたこのモノ達を果たしてポイっとしてしまう事が本当におじさんの本望だろうか?
利益目的ではなくて、理解のある方にこれらをきちんと使ってもらえる方がおじさんもゆっくり眠れるのでは?と思いました。
おじさんの品はおじさんの品できちんと手入れをして、売れたら売上をおばさんにお持ちする
私が個人で作った・仕入れた物は別スペースの傍らで売る
なんならおじさんのものとコラボする様に私の作品と共に展示して……
とにかく敷地だな
そう思いました。
おばさんは、たいそう喜んでくれて、そうしてくれるならそうして欲しい、との事。
これがまた不思議な事に
とは言ったもののそんな簡単に広さのある物件なんかないよなー……
と思っていたら「あるよ!」と用意されてたかの様に舞い込んでくる物件話。
7月頭の木曜にその件で話をしに行くのでまた寄ります、と言ったらなんと!
その日は丁度49日の親族の集まりがあって全員集まるのできっとお父さんにもいい話が聞かせてあげられるはず!
と。
あら〜不思議な事もあるもんだ😝💕
おっしゃる通りに話は進み、後は荷物の搬入のみとなりました。
親族の方に比べたらほとんど関わりもないに等しいですが、死んだからない、ではなくて、死んだから生きてた、という部分をみるとその方の人生が見えてくる、その方が何十年をどう生きたか、そこを考えると無駄にしてはいけないと思えます。
何よりその事で、おばさんとも接点が出来て、ご親族の方以外でも生存確認を常にできる先がある、これもきっとおじさんは心配しておられたでしょうし
あの本を読んで、こういう事なんだよな、それを死んでからではなくて生きている内に尊い者であるとして色んな方と関わるべきなんだよなぁ、と考えさせられました。
愛が詰まった1冊だったので是非手に取ってみて欲しいです💗
新店舗、設立したら仕事も一つ増えるので手放しで喜んではいられませんが頑張ります😘